TOEICerの語学学校生活

  • 2023年8月15日
  • 2023年8月15日
  • 留学

ネットで留学した方の情報を探しているとわりと頻繁に「英語力ゼロで留学」というワードを目にします。もちろんそういう方ばかりではありませんが、語学学校で他の生徒の方々を見ていると英語がほとんど喋れないまま留学に来た方もいますし、そう思うと自分は比較的日本で勉強を積み重ねてから留学した方だなと感じました。ただ自分の英語力は主にTOEIC L&Rを通じて培われたもので、TOEICではそこそこ点が取れるもののいざ話そうとしてみると全然ダメという典型的なダメTOEICerでした。この記事ではカナダの語学学校でダメTOEICerだった自分の実力がどこまで通用したかをお話したいと思います。

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渡航時のスペック

TOEICスコア 975
英検 準1級
語彙数 約15,000語
その他英語学習歴 NOVA 2年 NativeCamp 2年

Speaking試験を含む英検にも少し手を出していましたが準1級のスピーキングはさほど難しくない上にスコアもボロボロだったのでこれはあまり意味は無かったと思います。Speaking能力の向上に一番大きく寄与したと思われるのは毎日1レッスンをコツコツ続けていたNativeCampだと思いますが、それでも大したレベルではありません。語彙数15,000語というのは多分TOEICの同レベル帯の方と比べてもかなり多い方だと思いますし、この時点での唯一の自分の武器でした。

なお、TOEIC900点を超えていても全く喋れないというのは下記記事で詳しく紹介しているので是非ご覧下さい。

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クラス分け

自分の語学学校のESLコース(一般的に英語を学ぶコース)では、スキルごとにクラスのレベル分けがされているのが特徴でした。これは自分的には結構良いシステムだと思っていて、全スキル共通のレベル分けを採用している一般的な語学学校ではReadeingや文法ばかり得意な日本人が高いレベルのクラスに入って周りのSpeakingレベルに全然ついていけないという話もよくあるみたいですね。

カナダ渡航前にオンラインでレベルチェックテストを受けて入校時のクラスが決定されます。自分のレベルは以下の通りでした。

Grammar レベル5
Listening レベル4
Reading & Writing レベル4
Speaking レベル3

レベルはGrammarが5段階、その他は4段階だったのでSpeaking以外は一番上のクラスになっていました。なのでクラス分け時点で既にそれなりにTOEIC学習の成果が評価されたのかなと思います。なおSpeakingに関しては自分と同時期に30人ほどの日本人生徒が入学したのですがレベル4と判断されたのは多分1人だけだったと思います。Speakingレベル4に日本人はほとんどおらず、やっぱりSpeakingは全日本人共通の弱点みたいですね。余談ですがスペイン語を母語とするメキシコ人、ポルトガル語を母語とするブラジル人の方々はSpeakingレベルが4でGrammarレベルが2のような日本人と全く逆の現象が起きていて面白かったですね。

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Grammar

語学学校で習う文法は基本的なものが多く、TOEICを通じて文法学習をやり込んだ方であれば分からないことはほとんど無いと思います。自分も特に知らないことはそこまで多くなかったのですが英語で文法の解説を聞くという機会が新鮮で授業自体はとても楽しめました。ただしハイレベルなクラスになるとwillとbe going toの使い分けのような日本の大学受験ではそこまで深堀りされないような所をフォーカスしたりというものもありました。自分の成績は95%ほど(こちらでは成績は%で表示するのが一般的みたいです)でそこそこ優秀な成績を出せたと思います。多分日本の高校英文法をマスターしている方であれば語学学校では無双できるのではないでしょうか。

そして噂には聞いていましたが5文型という考え方は全く出てきませんでした。先生とか他国のクラスメートにも聞いてみましたが誰も知らなかったので5文型に分けて考えるのは日本人だけなのかもしれません。その他ネイティブで自動詞(intransitive)と他動詞(transitive)を知らない先生も複数いました。こちらに関してはテキストに書いてあったのでただその先生が知らないだけだったのだと思います笑 でも文法の学習アプローチの仕方は日本とは大分違うんだなと実感しました。

Listening

これは一応最上位クラスのレベル4には所属していたもののかなり苦戦しました。授業やテストでディクテーションを頻繁に行ったのですが、これがかなり大変でした。そもそも自分がディクテーションの練習自体ほとんどやったことが無かったというのもありますが、クラスメイト達も大分苦戦しているようでした。自分はTOEICのListeningでは確実ではないものの大体満点が取れるかなというレベルでしたが、英語の音に慣れている他国の学生達に比べて聞く能力が明らかに劣っていると実感しました。一度授業で先生が面白い動画を見せてあげると言って視聴した動画がほとんど聞き取れずクスクスと笑うクラスメイトにタイミングを合わせて自分もハッハッハと笑う非常な惨めな経験をしてから本当にこれは頑張らねばと思いました。

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Reading

ESLコースのReadingで読む文章はそこまで難しいものではなく、TOEICよりは少し難しいかもしれませんが英検準1級よりは簡単でそこまで苦労せずに読むことができました。ただ授業では長文を読んだあとに「この段落を要約しなさいと言われたり」とか「この記述に関して意見を述べなさい」のように指名されて発言を求められたのでReading以外のスキルも必要だったのでなかなか大変で必死に予習していきました。ただこれに関しては先生ごとに指導方法にかなりばらつきがあって「この文章を読んでおいてね」と言って授業では全く長文に触れないという先生もいました(もちろんその先生の授業は不評でした…。)。

授業は大変なことも多かったですが試験ではTOEIC力が大いに発揮されて、こんなの今まで数えきれないくらい解いてきたよ!っていう問題も多くほぼ満点近いスコア出すことができました。

Writing

WritingはReadingと同じ授業で、授業で軽くwriting指導を受けてから月4~5回のwritingタスクを出されてフィードバックをもらうという形式でした。アカデミックwritingの書き方をきちんと習うのは初めての経験だったのでとても楽しかったです。タスクの1回分はそれほど分量が多いわけではありませんでしたが1時間程度で終わるというものでもない上に毎週課題が出るので結構大変でした。自分は英検対策で少しwritingを齧ったことがありましたがその時よりずっと沢山書きましたしTOEICしか受けたことが無い方だったらかなり苦労するんじゃないかなと思います。トピックについてはアカデミックなものもあれば「理想のデートプランを考えなさい」とか「この恋愛相談に回答しなさい」みたいなカジュアルなものもあって特に後者は大変苦労しました。

今思うと確かに英検の際に勉強していたというのもあるのですが、そもそも自分は文章を書くのが好きなのもあって沢山の課題は大変でしたが嫌ではなくて、成績もそれなりに評価していただけたかなと思います。

Speaking

唯一最上位クラスに入れなかったのがSpeakingです。だからと言って1つ下のこのクラスの中で優秀な方だったかというと決してそんなこともなく上位クラスの方々とは雲泥の差があったと思います。ListeningやReadingで同じクラスだった生徒達の中にはSpeakingのレベルが最上位の4だった方々もそれなりにいましたが、皆さん恐ろしく流暢でこの人達はわざわざ語学学校に留学に来る必要があるのだろうかと感じました。そして日本人でこのレベルの生徒にはほとんど出会ったことが無く、日本人はSpeakingが弱点というのは間違いないと思います。

ただ、そういうSpeakingの上級者のほとんどはブラジル人やメキシコ人などの英語に近い言語を母語とした生徒達で、語学学校の先生曰く母語の構造や発音が英語と似ていて特にSpeakingに関しては大きなアドバンテージを持っているとのことなので日本人がSpeakingができない理由が一概に教育制度や勉強不足というわけではないのかなと思います。

TOEICerという観点から分析すると自分のSpeaking能力はTOEICの勉強などほとんどしたことがないような日本人学生達と何ら変わらないレベルでした。NOVAやNativeCampで鍛えた上での結果がこれなので、当然ですがTOEIC L&Rの問題ばかり解いているだけでは到底上級者と呼べるようなSpeaking能力が身につくはずはありませんね。

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語彙力

これに関してはVocabularyという授業があるわけではないのですが、自分が最も評価された部分かと思うので少し言及させていただきます。当然ですが語彙力は全ての授業で必要なのですが、受け持っていただいたほとんどの先生から語彙力は褒めていただいて、「この単語を知っていた生徒は初めてだ」みたいなことも数回言われました。上述の通り自分の語彙力は15,000語レベルでTwitterを見ていると20,000語をレベルを超えるような方もそれなりにいらっしゃったので自分の語彙力がこれほど評価されるとは思っていませんでした。

TOEICとの関連で話すと多分語彙数は10,000語あれば900点は十分に取得できるレベルだと思うので、TOEICスコアに比べれば自分は大分語彙は鍛えた方だと思います。自分の感覚なのであまりあてにはならないかと思いますが自分の学校で語彙数が10,000語を超えるレベルの生徒はほとんどいなかったと思います。「どうやって単語を覚えたんですか?」っていう質問は誇張抜きに50人くらいに聞かれた気がします。

まとめ

TOEICで身に着けた英語力は語学学校ではめちゃくちゃ役に立ちます。満点近いスコアを持っていれば特にGrammarとReadingでは無双できるでしょう。この記事では最初に受講したESLコースの状況だけ書きましたがその後に受講したIELTSコース、TESOLコース等の他の授業でもやっぱり評価していただけました。

一方でListening、Writing、Speakingではやっぱり苦労しますね。TOEIC L&Rだけ勉強してWritingとSpeakingが伸びないのはまあ当たり前ですがListeningもTOEICレベルでは不十分でListening満点だからと言って満足するのではなくもっと難しい教材に手を出してみるべきだったと思いました。

留学準備としてTOEICだけを勉強するというのはナンセンスと言わざるを得ませんが、勉強の一環にTOEICを受けるのは全然アリかなというのが個人的な意見です。TOEICを過信してはいけませんが、TOEICで身についた英語力が無駄になることはないは思います。

 

 

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