TOEICのスコアが900を超えた頃、TOEICばかりに傾倒していた学習を反省してそろそろSpeakingとかアウトプット型の学習にも力を入れ始めたいと思うようになりました。でも何をしていいのか分からない。そんなに時に役立ったのはTwitterでした。
フォロワーさんの一人が勧めてくれたのは瞬間英作文という問題集で、簡単な中学レベルの文章をたくさん英訳することで話せるようになる力をつけるというものでした。少し調べてみると非常に多く英語学習者の方々がこの学習法を取り入れているようでした。
簡単そうに見える
書店に行って実物を手に取ってみます。瞬間英作文はシリーズ化されていていくつか種類があるのですが、初代で元祖の「どんどん話すための瞬間英作文トレーニング」を見つけて開いてみました。見開きページの左側に日本語文が書いてあり、右側にその英訳(解答)が書いてあるという簡単な作り。これをただひたすらやっていくという単純明快なトレーニングです。
最初のページの第1問は「これはいい本です。」でした。もちろん解答は「This is a good book.」です。中学1年生レベルから始めるというので簡単なのは分かっていましたが、いくらなんでも優しすぎないかな……?と、思いつつもせっかくフォロワーさんに勧められたものなので購入し家で本格的に学習を開始することにします。
でも全然できない
ところがいざ本格的に学習を始めるとあまりの出来なさに愕然としました。最初は簡単なところから始まるんだよなあとか思ってたのに1ページ目から既に間違いを連発します。
Q:あの男性は日本人ですか?
A:Is that man is Japanese?
こんな感じのガチで中学生レベルの間違いを連発します。
※ただこの間違いについては本書の中でも著者の方が「トレーニング初期には疑問文でbe動詞がダブってしまうミスが起こりやすい」と言及していますので、意外と普通のことなのかもしれません。まあTOEIC900の人間がやるミスでは無いと思いますが……。
TOEICだけに特化した人間がいかに他の能力に乏しいのかが分かるというものですね。
すんごい疲れる
始めたばかりの頃は15分このトレーニングをやっただけでもヘトヘトになって、「もう無理!」と投げ出していました。TOEICの学習に集中してた頃は3時間くらい連続して学習することもそれなりにあったのですが、それ以上の疲労感に襲われる感覚でした。TOEICの学習と瞬間英作文トレーニングでは使う脳の部位が全く違うのでしょうね。プロアスリートでも普段使っていない部位の筋肉を使えば筋肉痛になるようなものでしょうか?僕の脳は全くもって英作文に対応する機能を持ち合わせていなかったのです。これじゃ喋れないはずですね。
ちなみに瞬間英作文を毎日のルーティンに組み込んで半年以上経った今でも、このトレーニングが一番自分にとって高負荷の学習に感じまし、長時間は続けられません。アウトプットの学習自体がインプットに比べてそもそも負荷が高いということなのかもしれません。
ちなみに本書にはCDが付属していますので、通勤中などの本が開けない時間でも学習することができます。耳から入った情報をアウトプットするトレーニングは本を開くよりも高度で、慣れた方には本より効果的だと思いますので是非試していただきたいですね。ただ、車の運転中は絶対にお勧めできません。完全に意識が英作文に行ってしまって間違いなく事故ります!
結局効果はあるのか?
瞬間英作文への批判
受験英語では必ず日本語の英訳問題が出てくると思うのですが、単に英語が喋れるようになりたいと思った時にはそういうトレーニングは必ずしも必要ではないのかもしれません。
ある日英会話教室の先生に
「I’m practicing translating easy Japanese into English.」
と言ったら
「It might not be a good idea.」
と言われました。そんな、ひどい…。
先生が言うには、英語脳は日本語脳と切り分けて、英語で考えてそのまま英語でアウトプットできるようになった方が良いとのことでした。実際に似たような意見をTwitterでも見かけることがあります。耳から入ってくる英語を一旦脳内で日本語に直して、返事を考え、それをまた英語に直して口に出す。そんなことしてたらスムーズな会話なんてできないでしょ?というのが主な批判意見のようです。確かにそれも一理ある。英語を話したければ思考を英語化しなさいということでしょう。
こういった理由から瞬間英作文トレーニングは無意味であるという意見も少数ながらあるようです。
思考言語化は難しい
とは言うもののそれはかなり難しいと思います。もちろんできれば理想ですし英語学習者の最終形の1つだとは思いますが、普段の生活で入ってくる情報はほとんど日本語なのに、例えばお腹が減ってきた時に
「I’m hungry. Let’s get dinner ready.」
なんて脳内で考えるようになるとは考えにくいです。完全に英語だけの環境に身を置けば(留学するとか)また事情も変わってくると思いますが。
また私見にはなりますが、海外で完全に英語のみの生活を送るのであれば話は別ですが、日本に住みながら英語能力を役立てようと思うなら、多かれ少なかれ通訳や翻訳という能力は必要になるかと思います。スラスラ話せるようになるかはさておいたとしても英訳能力は鍛えておいて損はないと思いますし、思考言語を英語化していく過程の中でも役立つ能力だと思います。
僕自身は実体験の中で効果を実感しています。ほとんど英語を使う仕事ではありませんが、瞬間英作文をやり始めてからごく稀にやって来る外国人の方の英語対応が明らかに前より出来るようになりました。もちろん日本語を英語に変換しながらの対応だったのでぎこちないことに変わりはないですが、必要最低限の意志疎通を行うための英語力が培われたと感じました。
結論として僕個人としては確実に効果を実感できる勉強法だと信じています。
けちゅの間違い事例集
最初は単純な間違いばかりしますが、繰り返しトレーニングするうちに徐々に慣れていきミスも減っていきますが。しかし10周した現在でもまだなおミスを繰り返す所をちょっと紹介します。バカな人間だと笑ってください。
1.彼女は看護師ですか?
正:Is she a nurse?
誤:Is she is a nurse?
上記にも書いたとおりbe動詞を2回使うミスです。誤答だけを見ると「なんだこの文章は?」と一瞬で違和感を感じますが僕は何度もこのミスを繰り返しました。さすがに回数をこなせばあまり間違えることはなくなりましたが、「Is the woman who is playing the piano is your sister?」のような主語の長い疑問文を瞬時に作ろうとすると今でも時々間違えます。
2.あなたのお父さんは私のことを知っていますか?
正:Does your father know me?
誤:Does your father knows me?
これも初歩的なミスですね。しっかり考えれば絶対間違えませんが、咄嗟に口に出そうとするとまだ時々間違えます。これと同じように「Did she played the piano?」のような間違いもよくやります。考えなくても自然と出てくるレベルにしたいものですね。
3.彼は君ほど上手には英語を話せない
正:He can’t speak English as well as you do.
誤:He can’t speak English as well as you.
原級比較の時に「do」を省いてしまうミスです。正直何がダメなのかあんまりよく分かっていません。誤答の方でも意味は伝わる気がします。何かニュアンス的な違いが出てくるのかな…?
4.彼には住む家がない
正:He doesn’t have a house to live in.
誤:He doesn’t have a house to live.
不定詞の形容詞的用法などの場合での前置詞の付け忘れです。瞬時に解答しようとするとほぼ100%間違えます。自動詞と他動詞の使い分けができていないということでしょうか?
5.あなたに会えてうれしいです。
正:I am happy to meet you.
誤:I am glad to see you.
なぜか毎回誤答のように解答してしまいます。「happy」と「glad」の違い、「meet」と「see」の違いが理解できていないということでしょう。ちなみにこれらの違いは何度調べても忘れます。そして誤答がなぜダメなのかいまだによく分かっていません。
6.その少女は成長して、何になりましたか?
正:What did the girl become when she grew up.
誤:???
全く答えが浮かびません。これは多分10回中10回間違えました。この日本語訳を見た時に「when」を使うという発想にならないからだと思います。
7.その外国人がどのくらい日本にいるか知っていますか?
正:Do you know how long have the foreigner has been in Japan.
誤:Do you know how many foreigners in Japan.
「どのくらい」の意味を完全にはき違えています。こうなると日本語の勉強から始めた方が良さそうです。
この他「something」と「anything」が上手く使い分けられなかったり、「yet」と「already」の区別がつかなかったりなど、間違いを上げればキリがありません。でもReadingだけではあまり意識することの無さそうなこういう文法のポイントを最確認できるという点でも良いトレーニングになったような気がします。
8.おまけ
答え合わせをするまでにこんな間違いに気づかないとか英語能力以前にもっと大事な感性が欠けているとしか思えません。
今後の瞬間英作文
「どんどん」を10周こなした今でも残念ながら話せるというレベルにはまだほど遠いです。でも成長した実感はあります。時間をかけて考えれば正確な文章が作れるようになってきましたから。「どんどん」をマスターしたというわけではありまえせんが、さすがに10周すれば答えを丸暗記してしまったものもあるので次のステップに進もうと思います。
2019年現在瞬間英作文シリーズは全6冊が出版されています。次に自分が学習している「スラスラ話すための瞬間英作文シャッフルトレーニング」です。何がシャッフルかと言いますと、「どんどん」では文法の単元ごとに不定詞なら不定詞の文章を1ページ分10問英訳するというものでしたが、「スラスラ」では文法がごちゃ混ぜになって出題されるようになります。日本語文を見てどの文法を使用した文章を作るか考える段階から始まるのでより高度な英作文能力が必要とされます。こちらもまた最低10周はこなしてから感想を書きたいと思います。
「瞬間英作文」が勉強してるのになかなか話せないという英語学習者の方すべてに有効かは分かりませんが、勉強方法を模索している方は一度は手に取ってみても良いかなと思います。