英検準1級体験記 一次試験編

  • 2021年8月2日
  • 2021年8月9日
  • 英検

TOEICはそこそこ取れるようになったけど全然喋れるようにならない!そんな方は多いと思いますし、自分もその1人です。まあTOEIC L&Rでは話してないわけですから当然と言えば当然なんですけどね。ならばSpeakingのあるテストを受けようと考えるわけですが、国際的に使えるTOEFLやIELTSは受験料が高すぎるし、TOEIC S&Wはマイナー過ぎる。それじゃあ英検を受けてみよう!

というわけで2021年5月30日に英検準1級を受験してきました。結論から言うとなんとか合格はできたのですが、不慣れなSpeakingとWritingはもちろんTOEICで鍛えたはずのReadingやListeningにも大苦戦しました。今回は僕が行った試験勉強から本試験までの感想を体験記のような形でまとめたいと思います。

スポンサーリンク

英検準1級の難易度

受けるに当たってまず一番気になったのが英検準1級の難易度です。受けるのはいいとして本当に受かるのか。どのくらい勉強をすればいいのかというのはほとんどの受験者が気になるポイントだと思います。

TOEICと比較した難易度

大学生以上の英語学習者の方であればTOEICの受験経験のある方が多いと思います。そこでTOEICのスコア換算で大体どの程度のレベルかを測ることができるかと思います。色々なウェブサイトを調べてみたところ、サイトによってばらつきがありましたが概ねTOEIC700~800点が英検準1級のレベルと言われているようです。ただし、理由は後述しますが個人的にはこの換算はあまりあてにならないと思っています。確かにTOEIC500~600位の方が合格しようとすると難しいかなとは思うのですが、TOEIC900点を超えている方が簡単に合格するかというとそういうわけでもないと思います。現に僕は受験時点でTOEICスコアが965点でしたが大苦戦しました。英検を受けるならば英検対策の勉強が必須かと思います。

スポンサーリンク

語彙レベルから見る難易度

もう1つの指標として要求される語彙レベルで比較してみます。英検準1級では諸説ありますが、7500~9000語レベルの語彙力が必要と言われているようです。これは大学入試センター試験(約5000語)、早慶旧帝の難関大入試(約7000語)と比べるとかなり高いように思えます。TOEICでは目指すスコアにより変わると思いますが、5000語~6000語あれば800点レベルには到達できると思うので、語彙力に関してはこれらの試験に比べてかなり高い水準を要求されている試験と言えると思います。僕はこの要求語彙レベルの高さが英検準1級の難易度を大きく上げている要因の1つだと思っています。

ただしこれはあくまでも大問1(語彙問題)で要求される語彙レベルではないかと思っています。Readingの長文やListeningなので7500語~9000語レベルの単語がバンバン出てくるというわけではありません。もちろんWritingでもそんな難しい単語を使って書かないといけないわけではありません。まあ語彙問題の配点が大きいので語彙学習をしなくて良いというわけではないのですが…。

対策学習

ここからは実際に僕が行った学習について使用した教材とあわせて分野別に紹介していきます。

スポンサーリンク

語彙

Readingセクションでは41問中25問が語彙問題です。従って語彙を捨てるという選択肢は絶対にありません。ここで落としたら多分もう瀕死になります。僕は語彙問題対策に下記の2冊を使用しました。

ただし、単語に関しては普段から「究極の英単語(SVL)」を利用して継続的に学習していたおかげで問題集を初見で解いても安定して9割以上正解できたために新たに単語を覚える必要がほとんどありませんでした。語彙学習に時間を割かなくて良かった点は大きなアドバンテージになったと思います。

SVLの12,000語のうちLevel11の11,000語までは概ね覚えた状態で受験しましたが、問題集や過去問を解いた感じではSVLの10~11からもそれなりに出題された気がします。もちろんSVLは英検向けの単語帳ではないので仕方ないのですが、英検準1級合格に必要な分だけの単語を学習したい場合はパス単を使用した方が効率的かと思います。

一方で熟語はサッパリでした。SVLでは熟語が網羅できないため問題集の熟語セクションは全く正解できず。パス単に掲載されていた300語の熟語もほぼ意味が分かりませんでした。最初は頑張って覚えようかと勉強していたのですが、悩んだ結果熟語は捨てました。というのも25問の語彙問題のうち熟語問題はたった4問だけ。覚えるのに必要な時間を考えると効果が薄いと考えたからです。

なお、Twitterで他の英検受験者の様子を観察していたところほとんどの方がパス単を使っていて、たまにアプリの「でた単」を使っているという感じでした。英検準1級対策でSVLを使っていたという方は僕は目にしませんでした。

長文

長文では以下の教材を使用しました。

TOEICではPart7の文章問題が大好きなのですが、英検では思いのほか苦戦しました。文章自体がTOEICに比べると大分難しく馴染みのないトピックも多かったです。大問2の空所補充問題はまだ解けましたが、大問3の内容一致問題で歴史や政治経済などの苦手な分野からの出題がされるとかなり正答率が落ちました。

上記の問題集を1周して最終的には約8割程度の正答率にすることができました。

Listening

Listeningは以下の教材を使用しました。音声はCDが付属していますが、「英語の友」というスマホアプリ使用して無料で利用することができます。速さを変えたり少し戻したりと何かと使い勝手がいいのでこちらをお勧めします。

英検準1級では全体的にTOEICよりゆっくりはっきり喋ってくれるのでかなり聞き取りやすく感じました。Part1はTOEICのPart3のような感じの会話の内容一致問題です。TOEICと違って設問が書いてないので(問題用紙には選択肢のみ記載)先読みができませんが、さほど難しいとは感じず問題集でもほぼ全問正解できました。そしてPart3(Real-Life形式の内容一致問題)は状況と設問が書いてあり先読みするための時間もあるのでPart1よりさらに解きやすいと思います。こちらもあまり間違えることはありませんでした。

問題はPart2です。文の内容一致問題なのですが、問題文が圧倒的に難しくて長いです。加えて設問も書かれていないので先読みして待ち伏せする作戦も使えません。Part1とPart3に比べて圧倒的に難易度が高いです。ひどい時は正答率が5割を切ることもありました。結局本番までコツのようなものは習得できず、せめて馴染みのあるトピックが出ることを祈りつつ運を天に任せて本番を迎えることとなりました。

Writing

語彙レベルの高さと並んで英検受験者を苦しめているのがWritingの存在だと思います。一次試験の配点はReading、Listening、Writingの配点が各750点。ReadingとListeningはそれぞれ41問と29問なのに対してWritingは1問で750点。Writingを捨てたらその時点で死にます。英検はWrintingゲーと言っている方もいましたが、確かにその通りかもしれません。

Writing対策は以下の教材を使用しました。

Writingが難しい理由

個人的には1次試験の中ではWritingが一番勉強に苦労しました。その理由は以下の3つだと思います。

そもそもWritingに慣れていない

TOEICerである自分は普段からReadingとListeningしか勉強したことがなくWritingはほぼ英検でしか勉強したことがありません。やったことがないものはできないというただ単純な理由です。加えて前者がインプット型の勉強になるのに対してWritingはアウトプット型の学習が必要になります。全く異なる勉強法になるため、そもそもどう勉強していいかわからないという状態に陥りました。

TOEIC出身という方でなくとも、大学受験ではWritingの占める比率は非常に低いと思います。実際大学入試共通テストにもListeningとReadingしかありませんしね。Writingの経験がほとんど無い状態で英検を受験するという方はとても多いのではないかと思います。

トピックに馴染みが無い
・Should Japanese companies make English as an internal official language?
(もっと多くの企業が英語を社内公用語化するべきか?)
・Is genetically modified foods beneficial for society?
(遺伝子組み換え食品は社会にとって有益か?)

上記は問題集に掲載されていた英検準1級のトピックの例ですが、僕にとってはどちらも普段考えたことも気にしたこともないものでした。日本語で尋ねられても答えられる気がしないと多くの受験者が言っていたのを耳にしたことがありますので、トピックが難しいと感じるのは多分普通のことなのでしょうね。僕は普段新聞を読まない無知で無学な人間なので特に苦労した方かと思います。本番で自分が答えられるトピックが出るかどうかは非常に重要で、運に大きく左右されるところかと思います。

ちなみに、「英検に出題される幅広いトピックに対応するため普段から英語のニュースや新聞記事に触れることが大事」のような意見は数多く見たことがありますが、個人的にこれは少し疑問を感じます。もちろん日常的に英文記事を読んでいる方であればこういった英検が扱うトピックにも強いのは間違いないと思います。しかし普段からそういったことを全くしていない方が「よし、英検受けるために英文記事を読み始めよう!」と意気込むのはあまり効率的とは思えません。1年以上前から習慣づけていくのならまだしも数か月前に英検対策を始めるのであれば問題集や過去問で頻出トピックを抑えていくほうが手っ取り早いかなと思います。

なお、上記の「英検準1級ライティング大特訓」には数多くのトピックと意見が掲載されていますので、これ一冊だけでもある程度の予備知識をインプットすることができるかと思います。

1人で勉強しにくい

ReadingやListeningの学習であれば、「問題集を解く」⇒「答え合わせをする」⇒「解説を読む」というプロセスで十分に実力アップすることができると思います。しかしWritingに関しては、とりあえず書いてみるというのはとても重要なことだと思いますが、書いたエッセイを自分で採点できないという問題に大分悩まされました。どこが間違っているのか、どういう風に修正すべきかなどが自分自身ではほとんど判断できなかったからです。

以上の理由によりWritingの学習に関しては指導者をつけることが重要なのかなと思います。自分は利用しませんでしたが、ネットを探すと沢山の添削サービスが提供されていますのでそういうのを利用するのも検討しても良かったかもしれません。既に指導者がいる方であればとにかく書きまくって片っ端から添削していただくのが一番の近道かと考えます。

自分の勉強法

まずフォーマットを覚える

エッセイの構成はintroduction、main body、conclusionという構成なのですが、このうちintroductionとconclusionについてはフォーマットを覚えておくことでかなり書きやすくなります。というより自分が使うフォーマットを決めておくことは必須かと思います。参考までに自分が使用したintroductionのフォーマットは以下のような感じです。

TOPIC
Do you think Kechu is Inkya?
(けちゅは陰キャだと思うか?)Different people have different ideas about whether Kechu is Inkya or not. Personally, I think Kechu is Inkyo for the following two reasons.

太字部分が僕の用意していたフォーマットで、そこにトピックの文を当てはめていくだけで完成です。フォーマットの例は「英検準1級ライティング大特訓」にたくさん載っているので好きなものを選んで覚えておいたほうがいいと思います。

ひたすら写経

「英検準1級ライティング大特訓」を1周通読してみましたが、それだけでは到底エッセイを書けるレベルには達していないと感じました。そこで僕が始めたのは、問題集に掲載されている解答例をひたすらノートに手書きで書き写すこと(通称「写経」)でした。これが効果的な学習法かどうかは難しいところですが、writingの基礎が全然できていなかった自分にできる学習法がこれしか思い浮かびませんでした。

毎日2トピックずつ続けてみたところ、ただ読むだけよりは書き方がずっと定着しやすいと思いました。もちろん解答例の文章は完璧なので本番でそんなにレベルが高いものを書けるわけは無いのですが、それでも「あ、こういうことを言いたい時はこの表現を使えばいいのか!」のような感じでwriting技術が向上していくのを感じました。

結局本番直前までこの写経を続けて、実際に自分で書いてみたのはギリギリになって過去問を解いた時だけでした。

結果と感想

Reading

語彙は語彙で24/25、長文は16/16という結果でした。これは自分の実力を大きく上回る結果だと思っています。

まず単語では正解の選択肢となった21単語のうち知らなかったのは「phobia」の1単語だけでした。後で調べたところこの単語はSVLにもパス単にも載っていなかったです。幸い他の選択肢を知っていたため正解することができました。間違えたのは「exhausted」という超基本単語…。「疲れた」としか覚えてなかったので「使い尽くされた」という意味での出題に対応できませんでした。情けない。

なお、捨てていた熟語はなんと全問正解でした。4問中知っていたのは1問のみで、それ以外は単語や前置詞の意味からそれっぽい選択肢を選んだつもりでしたが正解できたのは僥倖としか言いようがありません。

長文では大問2の空所補充問題は自信を持って解けましたが、大問3の内容一致問題は選択肢が1つに絞り切れない問題が数問ありました。結果はなんとか全問正解だったものの大分怪しい感じでしたのでこちらも運が良かったのだと思います。

Writing

TOPICは「大企業は社会に良い影響を与えるか?」という特に背景知識が特に必要無い答えやすいものでした。「大きい企業は良い製品を安く作れる」とか「環境に配慮した活動をしている」などを理由に肯定の立場で書きました。

書き終えて文字数を数えると規定の120~150文字を大幅に超えた170文字程度になっていて大分焦りました。必死に文字数を削りましたが150文字未満までは削れなかったです。大体どのくらい書けば120~150文字程度に収まるかというのを意識して書く練習をしておくべきだったのかもしれません。

結果は15/16で語彙で1点減点されていただけでした。写経していた模範解答からは程遠い拙い文章しか書けなかったと感じていましたが思いのほかスコアは良かったです。語彙の減点の原因はおそらく簡単な単語しか使わなかった(使えなかった)ことだと思います。意味が分かる語彙数は準1級レベルとしては十分だったと思っていますが、アウトプットとして使える語彙数はまだまだ不十分だったということですね。また、文字数オーバーによる減点は無かったと思われます。

Listening

Part1とPart3は全問正解でした。この2つは受け終わった時点で満点を確信していましたので大分余裕があったと思います。一方で鬼門だったPart2は8/12でした。ほぼ何を言ってるか分からない文章も1問ありました。自信が無い問題が運よく正解していたというのも含めてこの結果だったのでまだPart2を十分に正解できるレベルには程遠いのだと思います。

結果のまとめ

結果はCSEスコア2084/2250で一次試験を合格することができました。Listeningが若干足を引っ張った感じはしますが、これはこの時の自分の実力を考えるとこれ以上無いくらい上出来なスコアだと思います。

ちなみに一次試験の合格率は公式に発表されていませんが、20%弱だと思います。実際僕が受験した会場では一次の受験者は40人程いましたが二次試験に進んだのは7人だけでした。

スポンサーリンク

終わりに

学習期間は約1か月とかなり短かったですが無事合格することができました。総学習時間は50~60時間位だったと思います。語彙にはあまり時間を割きませんでしたがそれ以外の分野はそれぞれ均等に勉強したかと思います。Writingはもちろん長文やListeningも勉強しなかったらもっとひどいスコアになっていたと思います。

また、英検はTOEICと違って過去問が公開されていますので、できる限り多くの過去問を解くことも重要だと思います。英検公式サイトで過去問が3回分無料公開されていますのでそちらを利用してもいいと思いますが、訳や解説が充実している下記の問題集を入手して6回分解いてみるのがおすすめです。なお、この過去問題集は二次試験対策でも非常に役に立ちます。

TOEICとの関係をもう少しだけ書くと、要求語彙レベルや長文は英検準1級の方が難しく、ListeningはTOEICに比べて聞き取りやすく喋るもののPart2の長く難解な文章はTOEICレベルではなかなか対処できないという感じかと思います。また、TOEICしか勉強してこなかった方はWritingは初心者同然ですし、1から勉強する必要があります。以上よりTOEICと英検は全く別物の試験であり難易度の単純比較はできないというのが僕の考えです。TOEICの勉強を通して培われた英語力はもちろん英検でも役に立つとは思いますが、「TOEIC○○点ですが英検準1級には合格できますか?」という質問には一概にはなんとも言えないと答えると思います。

さて、二次試験対策は一次試験の翌日から開始しました。次の記事では一次よりさらに悪戦苦闘した二次試験の様子を報告したいと思います。

関連記事

僕が受けた日程では一次試験が5月30日、二次試験が6月27日となっており、二次試験まで約1ヶ月の準備期間がありました。Speaking試験の経験がほとんど無かった僕は二次試験で苦戦するのが目に見えていたのでこの1ヶ月間は日課にしていた単語学[…]

スポンサーリンク