2021大学入学共通テスト感想【リーディング編】

僕はテストを受けるのが好きです。もちろん英語を勉強しているのは英語を話せるようになるためですが、TOEICを始めとした英語の試験を受けることは自分にとっては娯楽であると同時に学習のモチベーションの1つでもあります。

さて、先日2021年1月16日に大学入学共通テストが行われました。TOEICや英検などと違って趣味や娯楽で受験する方はまずいないであろう試験ですが、公開された問題を試しに解いてみようという英語学習者は多いのではないでしょうか。実際、問題のクオリティも高く解説がネット上に充実しているこの試験が無料で体験できるというのはとても貴重な機会だと思います。さらに今年は1990年から31年間続いてきたセンター試験が終了して共通テストの記念すべき第1回目。世間の注目度も高くネット上ではお祭り騒ぎです。是非僕もこのお祭りに参加しなくては!

それではTOEICerの僕が解いてみた感想を記録していきたいと思います。

※問題も解答・解説も各予備校などの多くのページで公開されていますので興味のある英語学習者の方は一度解いてみてから読んでいただけるとより楽しめるかと思います。

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センター試験と自分

もう大分昔の話になりますが僕もきちんとセンター試験を受けて大学に入学しました。英語が比較的得意科目だった自分はセンター試験の問題を解くのが結構好きで、社会人になった今でも毎年センター試験を解くのが楽しみの1つになっています。現役時代の得点は190/200点で、満点を目指してい受験していますがいつも発音や文法問題で少しミスをしてしまうという感じでした。

ちなみに自分がセンター試験を受験したのはまだリスニングの無い時代でした。二次試験ではリスニング試験のある大学を受験しましたが、リスニングの無い大学の方が圧倒的に多く、英語コミュニケーション能力があまり重視されていなかった時代だったなと感じます。

なお、現在の自分の実力はTOEIC最高960点(最新950点)で、昨年度までのセンター試験も毎年全部解いて毎回概ね満点に近いスコアに落ち着いています(ただし満点は一度もありません)。

リーディング全体の感想

変わりすぎでした。名称が「大学入試共通テスト」と変わっただけで内容に関しては多少マイナーチェンジがあるだけでセンター試験と大差は無いだろう思っていましたが、これは完全に別物のテストですね。

センター試験ではまず発音・アクセントから始まって、次に文法とか語順整序問題、最後に長文という流れで、これは共通テストになっても変わらないと思っていました。しかし第1問目に出てきたのは下記のような問題。

なんだこれは?

発音や文法ではなさそうなので恐らく長文問題なんでしょうが、いきなり長文問題から始まるのはおかしくない?と思った自分はペラペラと次ページ以降をめくってみました。しかし書いてあるのは全て長文。僕が間違えて長文セクションの問題だけを印刷したのかと思いました。

そう、共通テストからは英語(リーディング)は長文のみとなり発音・アクセントや文法問題は消えてなくなりまりました。当然受験生はそんなこと分かって受けて受けていると思いますが、ほぼ従来どおりだと思っていた初見の僕にはこれは大きな衝撃でした。これ、高校生の勉強法が大幅に変わってくる大事件なのでは…?

長文ばかりになった影響か問題全体の語数が約5,500語とセンター試験の頃から1,000語以上増加したようでかなり速読する能力が求められるようになったようで時間が足りなくなる受験生が続出したようです。しかし僕はTOEICer。速読能力は十分に鍛えられており、10分以上の時間を残して解答を終えることができました。

感覚としてはTOEICのPart7だけを解いているような感覚に似ていると思いました。もちろんTOEICのビジネス英語とは若干内容が異なりますが、これはこれで読んでいて内容を楽しむことができました。

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各問感想

各問題ごとの感想を簡単にまとめていきます。

第1問

AもBもTOEICによくある形の問題かと思います。TOEICの問題に慣れ親しんだ方なら難なく解けるのではないでしょうか。TwitterなどのSNSでは「共通テストのTOEIC化」と書かれていましたが、第1問は本当にそのとおりだと思いました。問題文に♡が出てくるのは初めて見ましたが笑

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第2問

AもBもTOEIC言うところのダブルパッセージ(DP)問題でした。文章自体はそこまで難しいわけではありませんでした。が、ちょっと時間がかかりました。それが「fact/opinion問題」です。それが以下のような問題です。

第2問Aより抜粋

通常TOEICのPart7では選択肢の中から本文の中に書いてあることを選ぶことがほとんどかと思うのですが、このfact/opinion問題の選択肢は全て本文に書いてあることばかりで戸惑いました。Aの問題のシチュエーションは音楽バンドが演奏して審査員がコメントしているというものだったのですが、それが事実(fact)なのか、審査員の意見(opinion)なのかを区別して考えないといけません。TOEICでは見かけない問題ですし、この問題の意図がしばらく分からずにちょっと時間を使ってしまいました。独特な問題ですので、受験生の方々は対策必須かと思います。

第3問

Aは図を含んだDP。難易度はさほど難しくありません。本文の「Now it takes three times as long as usual to get to the hotel by city bus,~」のところを読んだ時に「あ、これ絶対問題に影響してくるやつだ」と思いましたが、案の定でした笑 これはTOEICの問題を沢山解いているうちに自然と身に付いた感覚ですね。TOEICでも戻り読みする頻度が減るのでとても重要なスキルだと思います。

Bでは再びSP。ここも問題はさして難しくないと感じました……が、問1でこのテストで唯一の誤答をしてしまいました。この問題は、文章の中で起きた事実を起きた順番に並べ替えるという問題でしたが、深く考えずに文章に出てきた順番に並び変えてしまいました。カリスマ講師の森田鉄也先生も「ひっかける気満々」とおっしゃっていた場所で、してやられたという感じです。ご丁寧に大過去の過去完了まで使って以前のことだと表現しているのに気付かなかったのは情けないですね。

余談ですが文章の中で「learnt」という単語が出てきて「こんな単語知らない!」と焦っていたのですが、これ「learned」のイギリス英語表記らしいですね。アメリカ英語とイギリス英語で発音が全然違ったりするのは誰でも知ってると思いますが、同じ単語でスペルまで変わるのは知りませんでした。自分はこれしか気づきませんでしたが、他にもイギリス英語の表現が出ていたようです。今回は知らなくても解けるような問題でしたが、アメリカ英語とイギリス英語の違いまで覚えてないと解けないような問題が出されたらたまらないですね。

第4問

TOEICでもマルチパッセージ(MP)、特にトリプルパッセージ(TP)を苦手としている方は多いと思いますが、この問題はなんと図表を含んで4つを照らし合わせる驚異のクアドラプルパッセージ。これはちょっとルール違反じゃないでしょうか笑 各問もほぼ全て複数の情報を参照しないと答えられないクロスリファレンス問題で解答にかなり時間がかかりました。個人的には今回最難関の問題だと思っています。

この問題でも「the best time to visit will be when it is least busy.」の文章を読んだ時に「絶対これ出題される!」と思いました。やっぱり特にMPではこの間隔は大切なようです。

第5問

馬のように芸をこなす牛の話。こんな感じの話はTOEICでは出題されないので面白いなと思いました。文章はかなり長めですが特に読みにくい文章ではありませんでした。

出題形式は文章をもとにプレゼンのスライドを作るために必要な個所の穴埋めというこれまたTOEICでは絶対無さそうな問題。問2では登場キャラクターを「309」「Aston」「Leon」「the pony」と色々言い換えてるのが嫌らしいなと思いました。問3の出来事の並べ替えもさほど難しくはないのですが選択肢が1つ余るあたりこれも嫌らしい。

読んだ時は「こんな牛いるわけないでしょ」って思ったのですが、これ実話らしいですね。しかも最近イッテQで取り上げられて話題になったとか。それを見てたから正答率が上がるというわけでも無さそうでしたが、実話もとに問題を作成してくるのも面白いですね。

第6問

Aはアイスホッケーに関する記事を読んでポスターを作るクラス活動の問題。第5問と似たような感じの形式ですね。文章も簡単で設問も単純な穴埋めなので簡単な問題と言えると思います。ただし第5問を同じく文章がTOEICには出ないレベルの長さなので多少戻り読みする必要はあるかもしれません。

ここで唯一知らなかった単語「concussion(脳震盪)」が出てきて焦りましたが、すぐ次の文で「A concussion is an injury ~」と説明がありました。親切設計。

Bは甘味料に関する文章を読んで、それに対する設問に答えるというシンプルな問題。文章の長さも第5問やAと同様やや長いです。難しくはないですが沢山出てくる甘味料の固有名詞に混乱するかもしれませんね。設問も単純なものばかりでこれも特には苦戦しませんでした。

まとめ

くどいようですが本当に昨年までのセンター試験と変わり過ぎて驚きました。ほとんどの受験生の方々は試行調査なるプレテストを受けていてある程度問題形式に慣れた上で臨んでいると思いますが、無対策で受けると高確率で撃沈すると思います。まあ無対策で受ける受験生なんていないか。

とにかく文章を読む能力が重視されるようになりましたね。もちろん長文を読むのにも文法知識は必要なので文法不要というわけではないでしょうが、こと共通テストに限っては発音・アクセントの知識は完全に要らなくなったのではないでしょうか。受験英語の勉強法も大分様変わりしていくのでしょうね。

難易度については、多くの専門家の方々が難化したと言っているようです。特に読む量が増えることにより時間が足りなかったという受験生が続出したようですね。ただ、自分が無対策で97/100点だったということを考えると理不尽な難易度だったということは無く、ちゃんと英語力のある方であれば十分満点が取れるテストだと思います。受験生の頃の自分と現在では英語力が違い過ぎるので今簡単だと思ったなどという意見はあまり参考にならないかもしれませんが…。

また、TOEIC化(というかPart7化)しているという意見に関しては完全に同意で、自分がそこそこ点数が取れたのも散々TOEICの勉強をしてきたからだと思います。とすると受験生にとっても共通テストのためにTOEICを受けるという選択肢が出てくる可能性も出てくるかもしれませんね。

次の記事ではリスニングパートの感想を書いていきます。

 

 

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